卓球のフリックの基本からコツ・練習方法まで徹底解説【現役プロコーチから学ぶ】

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この記事を書いた人(コーチ詳細

手小 由樹 Yoshiki Teko

プラチナコーチ
  • 全国高等学校卓球選手権大会(インターハイ) 団体の部:ベスト8
  • 全日本クラブ卓球選手権大会:ベスト8

🏓 本記事はこんな方にオススメ

今回は、卓球スクール・タクティブに在籍する現役の卓球プロコーチが、フリックの基本からコツ、練習方法までありとあらゆる角度から徹底的に解説していきます。

ぜひ、最後までご覧ください。

フリックとは?

フリックとは、台上の短いボールに対してコンパクトにフォアハンドもしくはバックハンドで打球する技術です。

「払い」と呼ぶ人もいます。打球時にかかる回転は、主に上回転(トップスピン)になります。

主に台上の短いボールを攻撃するための手段として用いられることが多く、打球のスピードが速いのが特徴です。

最近は、バックハンド側では、フリックの代わりにチキータや台上バックハンドドライブを使う選手が多くなってきています。

チキータについてはコチラの記事がおすすめです↓

フリックを使うタイミング

次は、フリックを使うタイミングについて解説していきます。

レシーブ

フリックを使うタイミングの1つ目は、レシーブです。

試合では、短いサーブの割合が比較的多いためレシーブでフリックを使う頻度が高くなります。

主に相手のナックル系のサーブや上回転系のサーブに対してフリックを使います。

それらのサーブに対してツッツキをしてしまうと浮いてしまうのですが、フリックを用いることでレシーブを浮かすことなく低く、かつ攻撃的に返球することができます。

台上の短いボールの処理

フリックを使うタイミングの2つ目は、台上の短いボールの処理です。

競技のレベルが上がってくると、相手に強打を打たせないように短く返す、ストップという技術が使われるようになります。

このストップに対しては、主にツッツキやストップなどを用いて、比較的安全に相手の台に入れにいくような返球をすることが多いのですが、ここでフリックを使えると効果的です。

日本代表の張本智和選手などは、この台上の短いボールの処理にフリックを多用し、得点をあげるパターンが非常に多いです。

フリックのやり方

次は、フリックのやり方について解説していきます。

フリックは、一般的に「難しい技術」と言われがちですが、原理的に考えれば、そこまで難しい技術ではありません。

フォアハンド・バックハンドを台上でコンパクトに振る

フリックのやり方の1つ目は「フォアハンド・バックハンドを台上でコンパクトに振る」です。

フリックはよく「手首をこうして〜」や「前腕をこうして〜」など難しく語られがちですが、シンプルに台上でコンパクトにフォアハンドもしくはバックハンドで打球するだけでOKです。

フリックを身につけようと考えてる方は、基本のフォアハンド・バックハンドは身につけられていると思うので、そこまで難しくないはずです。

もし、それでもフリックができない場合は、基本的なフォアハンドやバックハンドのフォーム(やり方)に問題があるか、次に紹介するポイントを守れていない可能性が高いです。

足を前に出しボールに近づく

フリックのやり方の2つ目は「足を前に出しボールに近づく」です。

台上の短いボールに対して正しくフォアハンド・バックハンドをするには、足を前に出して、ボールに近づく必要があります。

充分に足を前に出さずに打球してしまうと、フォアハンド・バックハンドのフォームが崩れてしまい、フリックの安定感も損なわれてしまいます。

フリックにおいては、上半身の動き(スイング)も大事ですが、下半身の動きも同じくらい重要になってきます。

こちらの動画でも足の動きの重要性にふれています。

フリックのコツ

次は、フリックのコツについて解説していきます。

一部、前述した内容と重複する部分も出てきますが、繰り返し伝えたいポイントになるので、ぜひご覧ください。

スイングの意識は基本のフォアハンド・バックハンドと変えない

1つ目のコツは「スイングの意識は基本のフォアハンド・バックハンドと変えない」です。

先ほども説明したようにスイングのやり方・意識は、基本のフォアハンド・バックハンドと全く同じでOKです。

「フリック」という言葉が先行している影響で「フリックという技術がある」と捉えられがちですが、実際、フリックというのは「台上の短いボールに対して行うフォアハンド・バックハンド」ですので、変にスイングの仕方や意識を変える必要はありません。

指導の現場でも、ここを勘違いしてしまってフリックが上手くいっていないお客さまをたくさん見てきました。

ラケット角度を安定させる

2つ目のコツは「ラケット角度を安定させる」です。

打球時のラケット角度が安定していないとミスが起こりやすいです。

よくあるのは、打球寸前で面を被せてしまったり、上に向けてしまうケースです。

打球寸前で面を変えたくなる心理はとてもわかるのですが、それはかえって逆効果です。

まずは、1度決めた角度を信じて打球し、もしミスをしたらその次のボールに対して角度を修正していきましょう。

フリックのよくある間違い

次は「フリックのよくある間違い」について解説していきます。

手首を使いすぎてしまう

1つ目のよくある間違いは「手首を使いすぎてしまう」です。

フリックにおいて手首を使うことは、賛否両論あるのですが、私は手首を使うことを否定的にみています。

なぜかというと以下の2つのデメリットがあると感じるからです。

【フリックで手首を使うデメリット】
⑴力が伝わりにくくなる可能性が高い
⑵角度が安定しにくい

1つ目の「力が伝わりにくくなる可能性が高い」というのは、腕全体のスイングの中で手首をアクセントに使えている場合は、何の問題もないのですが、手首を意識するあまり「手首中心のスイング」になってしまうことがあります。

「手首を使おう」という意識が強いあまり、腕全体が振れなくなってしまうことで、力が伝わらず、ボールが上手く飛ばせずに安定感が下がってしまうのと威力も出にくくなってしまいます。

2つ目の「角度が安定しにくい」は、手首を大きく動かすことで角度のブレも出やすくなってしまうためです。

上級者にもなるとその辺りのコントロールはできてくるのですが、中級者未満だと、これまでの私の指導経験上、安定しないケースが多いので、注意が必要です。

足の動きを疎かにしてしまう

2つ目のよくある間違いは「足の動きを疎かにしてしまう」です。

前述したようにフリックはスイング(上半身の動き)に着目するポイントがたくさんあり、足の動き(下半身の動き)が疎かにされがちです。

正しいフリックのスイングを行うためには、正しい足の動きは必要不可欠になるので、忘れずに意識・実行していきましょう。

フリックのおすすめの練習方法

次は、フリックのおすすめの練習方法について解説していきます。

まずはナックル(回転のないボール)で練習する

1つ目のおすすめの練習方法は「ナックルボールで練習する」です。

いきなり下回転や横回転でフリックの練習にチャレンジするのは、難易度が高いのでおすすめしません。

まずは、回転のあまりかかっていないナックル性のボールを出してもらいフォームを固めていくことをおすすめします。

ナックル性のボールで安定感が出てきたら、他の回転にチャレンジするようにしましょう。

多球練習で感覚を身につける

2つ目のおすすめの練習方法は「多球練習で感覚を身につける」です。

これまで解説してきたやり方やコツなどを理解できたら、次は打ち込んでいくことが大事になります。

そのため、一球練習(ボールを1球で行う形式の練習)は、たくさん打つことには不向きなので、ボールをたくさん使う多球練習がおすすめです。

大量に打球し、その分たくさん振り返りをすることでフリックの習得スピードが上がってくると思います。

多球練習ができる環境がないという方は、卓球スクールがお近くにあれば、そこにいってみるのもいいと思います。

慣れてきたら実戦練習に取り入れる

3つ目のおすすめ練習方法は「実戦練習に取り入れる」です。

これまで紹介した2つのおすすめの練習である程度、フリックが安定してきたら実戦形式でもフリックを試してみましょう。

実戦形式でやることで、多球練習ではなかった緊張感や難しさが出てくると思います。

きっと「多球練習ではできたけど実戦練習ではできなかった」というケースが出てくると思うので、そこをまた重点的に練習したりすることがおすすめです。

「多球練習⇄実戦練習」を上手くループしてやっていくとフリックの習得・上達につながると思います。

フリックのメリット

次は、フリックのメリット・デメリットについて解説していきます。

まずは、メリットからいきます。

台上のボールに対して攻撃的に返球できる

メリットの1つ目は「台上のボールに対して攻撃的に返球できる」です。

それぞれ良さはあるもののツッツキやストップに比べて、スピードのある攻撃的なボールが打てるのはフリックのメリットといえます。

速いスピードとタイミングで相手に時間を与えない

メリットの2つ目は「速い打球スピードとタイミングで相手に時間を与えない」です。

前述したようにボールのスピードも速いですし、比較的打球タイミングも速いので相手に与える時間は少ないです。

そのため、自分がフリックから仕掛けたラリーは主導権を握れることが多いです。

フリックのデメリット

次は、デメリットの解説になります。

強い回転はかけにくい

1つ目のデメリットは「強い回転はかけにくい」です。

ツッツキやチキータなどに比べると強い回転はかけにくいため、相手のサーブに対して回転を上書きするようなレシーブをしたい場合にフリックは適していません。

回転がかけにくい分、スピードは出やすいので、ケースバイケースで他の技術との使い分けをしていきましょう。

強い下回転に対してのフリックはリスクが高い

2つ目のデメリットは「強い下回転に対してのフリックはリスクが高い」です。

フリックは、主にナックル性のボールや上回転系のボールに使いやすく、下回転系のボール、特に回転量の多い下回転系のボールに対してフリックを使うことは難しいです。

角度を合わせて、打球することで強い下回転系に対してもフリックは可能ですが、難しいことに変わりはないので、無理せず使わないようにするといいでしょう。

フリックを活用した戦術・パターン

次に、フリックを活用した戦術・パターンについて解説していきます。
※全て右利き対右利きを想定して解説します

フリックからのカウンター

1つ目の戦術・パターンは「フリックからのカウンター」です。

フリックを相手のクロス(対角線上)に打って、自分のクロスに返ってきたボールをカウンターするという戦術です。

フリックが上手く決まることで、相手はストレートに打つ時間がなく、クロスに返球する確率が高まるので、そこを狙い撃ちする戦術はおすすめです。

ミドルへのフリックで詰まらせる

2つ目の戦術・パターンは「ミドルへのフリックで詰まらせる」です。

フリックは打球スピードが速いため、ミドル(相手の身体の中心)に狙うことで、相手を詰まらせることができる確率が高いです。

そこで甘くなった返球を攻撃していくのがおすすめです。

ミドルを狙うことは、両サイドを待っている相手にはとても有効な手段になります。

上級者もよく使う戦術なので、ぜひ試してみてください。

フリックの応用テクニック

次に、フリックの応用テクニックについて解説していきます。

かなりマニアックな内容ですが、基本的なフリックを習得したあとにチャレンジするのもいいと思います。

ナックル性のフリック

1つ目の応用テクニックは「ナックル性のフリック」です。

冒頭でもお伝えしたように、フリックは主にボールに上回転をかける技術になります。

ですが、ナックル性のフリックは、ボールの真後ろを押し込むように打球することで、あえて上回転をかけずにナックル性のボールにして相手のミスを誘う技術になります。

上手く使うことができると、レシーブから4球目の戦術の幅が広がると思います。

2バウンドする短いフリック

2つ目の応用テクニックは※「2バウンドする短いフリック」です。
※正確には「2バウンドするくらい」になります。

通常のフリックは、球足が長く、台から出るボールになりますが、このフリックに関してはソフトタッチで打球することで、短く返球するフリックになります。

同じくボールを2バウンドさせる「ストップ」という技術がありますが、ストップは、主に下回転がかかっていますが、短いフリックには上回転が掛かっています。

相手もフリックの構えから短くボールが飛んでくるので、意外性から反応が遅れて返球が甘くなることが多いです。

おわりに

今回はフリックについて徹底解説しました。

卓球においてフリックをはじめとする台上の技術は、習得・上達することで、試合の結果がガラッと変わるくらい重要な要素です。

「台上技術をしっかり身につけて勝てるようになりたい!」という方にはタクティブのパーソナルレッスンがおすすめです。

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